有名大学を上回る難易度、「小ぶりで精鋭」な大学が受験戦線で存在感を強める

中国の大学入試(高考)において、かつては格下とみられていた地方の小規模大学が、難関大学並みの入試難易度に達する現象が広がっている。特に「小而精」(小ぶりで精鋭)と呼ばれる専門性の高い大学が、985プロジェクト(全国重点大学)に選定された名門校さえ上回る合格基準点を記録するケースが相次いでいるのだ。

この逆転現象は中国の高等教育の地図を塗り替えつつある。従来、大学入試では清華大学(清华大学)や北京大学(北京大学)といった北京の旧名門校が絶対的地位を占めていた。その次の階層として位置づけられたのが985プロジェクトに含まれる約40校の重点大学である。ところが近年、上海や浙江、江蘇など経済発展地域に立地する小規模大学が、特定分野での教育水準を高めることで急速に評価を高めている。

「小而精」戦略が生んだ人気の逆転

「小而精」大学の台頭背景には、中国政府の高等教育政策の転換がある。2015年以降、当局は「双一流」(ダブルファーストクラス)構想を掲げ、総合大学の規模拡大よりも、分野別の卓越性を重視する方針を打ち出した。この方針の下で、工業デザイン、ファッション、医療技術など特定領域に特化した大学が投資と支援を集中させてきた。

受験生側の意識変化も重要だ。かつての「大は小を兼ねる」という価値観が揺らぎ、自分の専門領域に特化した教育環境を求める学生が増えた。親たちも子どもの適性に合わせた大学選びへと舵を切るようになった。採用試験で総合大学のブランドより実務スキルが重視されるようになったことも、この風潮を後押ししている。

受験体制と就職市場の接近

具体的には、上海音楽学院(上海音乐学院)や中国美術学院(中国美术学院)といった芸術系専門校、東華大学(东华大学)などの材料工学系大学が、985校を含む多くの総合大学より高い合格点を要求するようになった。就職市場で高い評価を獲得している企業の採用ニーズと、これらの専門大学の教育内容がしっかり結びついていることが、受験生の選択を左右している。

中国社会の急速な産業転換に伴い、特定分野での深い専門知識が商業的価値を持つ時代が到来したのだ。この流れは日本の大学政策にも示唆を与えるだろう。規模よりも専門性を磨く教育機関が存在感を示す、そうした多層化した高等教育市場への転換が、中国で現実のものとなりつつある。

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