「勤続年数が資産」――中国で急浮上する雇用危機と賃金格差問題

中国の労働市場で「勤続年数がいかに価値あるか」という議論が急速に広がっている。背景にあるのは、急速な産業転換と人員削減の波が、中国の労働者の人生設計を揺るがしているという現実だ。かつて国有企業では勤続年数こそが昇進や給与、福利厚生を決める最も重要な指標だった。ところが近年、テクノロジー企業から製造業まで幅広い業界で年功序列制度が崩壊し、中年労働者の大量失職が相次いでいる。

20代で入社した労働者が30年勤めても、リストラ対象になる時代が到来した。SNS上では「勤続年数は本当に資産なのか」「会社への忠誠心は報われるのか」という根本的な問い直しが起きている。特に35歳以上の労働者が職を失う「35歳定年説」が現実味を帯びる中で、長年の勤務経歴がむしろ採用面接で不利になるという逆説的な状況も生じている。この危機感は、中国社会全体の雇用不安定性を象徴する現象とみられる。

年功序列の崩壊と中年層の危機

中国企業の人事制度は大きな転換点にある。かつての「勤続年数=昇進・昇給」という単純な仕組みは、効率化を求めるグローバル企業の進出や、デジタル化による職種の急激な変化によって機能しなくなった。給与体系もプロジェクトベースや成果給へシフトしており、長く働くことだけでは報酬が保証されない環境になっているのだ。

この変化は特に40代以上の労働者に深刻な影響を与えている。生涯雇用を前提に企業に身を捧げてきた世代が、突然の人員整理に直面する事例が増加している。都市部では月給数千元の保障しかない失業者が街に溢れ、再就職を試みるも年齢を理由に門前払いされるという悲劇が繰り返されている。新卒採用市場でも「新鮮さ」を重視する傾向が強まり、勤続年数は逆にハンディキャップになるという逆転現象が起こっている。

社会保障制度への不信感拡大

この議論が炎上している根本には、中国の社会保障制度の不十分さがある。企業年金制度が未発達で、定年後の生活保障が極めて限定的な環境では、勤続年数こそが唯一の「貯金」であると労働者は考えてきた。ところが企業の経営難やリストラの加速で、その前提が瓦解している。特に地方都市では退職金制度がほぼ存在せず、長年の勤務実績が金銭的価値に転換されない労働者が大量に発生している。

若い世代も現状を冷徹に観察し、企業への長期貢献よりも個人スキルの磨きや副業による収入多角化を優先する傾向が強まっ

関連動画