中国の小規模県城で中考廃止・全員高進学が相次ぐ 教育機会の平等化が急速に進む

中国の内陸部や農村地域の小規模県城(県レベルの市)で、中学卒業時の選抜試験「中考」を廃止し、全生徒が高校に進学できる制度へシフトする動きが加速している。2026年上半期、複数の県城がこうした方針を発表し、SNS上で大きな話題となっている。従来の日本の高校進学率のような全員進学制への移行は、中国の教育制度において極めて異例な決断であり、地域格差是正と教育平等化への強い意志を示すものとみられる。

中国教育制度における選抜試験の重み

中国の教育システムでは、中学修了時の「中考」が極めて重要な関門となってきた。この試験の成績によって進学先が厳密に分別され、失敗すれば職業高校や中等職業学校への進学を余儀なくされることが多い。都市部と農村部の学校資源の格差が大きい中国では、中考は貧困家庭の子どもが階級上昇する最後の機会と位置づけられてきた。しかし同時に、この試験制度が地域間の教育機会の不平等を固定化する要因ともなっていた。小規模県城での廃止方針は、こうした構造的問題に直面した地方当局による改革の試みとみられる。

高等教育のユニバーサル化への圧力

中国政府は2020年代、「共同繁栄」と「教育の質的向上」を掲げ、地域格差の縮小を重視する政策を強化している。特に少子化と人口流出に悩む内陸県城では、教育制度を改革することで若者の定着を図る狙いもあるとみられる。全員高進学制度は、相対的に学力が低い生徒も高卒資格を得られるため、地域の人的資本向上と産業底上げに貢献する可能性がある。同時にこの改革は、過度な受験競争の緩和という社会的ニーズにも応える。中国社会では「内巻」(過度な競争)への批判が高まっており、こうした制度改善は世論の支持を得やすい環境が醸成されている。

課題と地方差の拡大リスク

全員進学制への転換は利点がある一方で、課程の質的低下や高校資源の不足といった実務的な懸念も生じている。財政が限られた県城で、施設や教員をいかに拡充するかが課題だ。都市部との二層構造がさらに強化される懸念もあり、当局の対応が今後の焦点となる。

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