ホテルの「朝食無料サービス」が消える日—中国で相次ぐ取り止め

中国のSNS上で、ホテルチェーンが長年提供してきた無料朝食サービスの廃止や縮小を次々と発表する動きが注目を集めている。経営難に直面する宿泊施設が、コスト削減の手段として無料朝食という「目玉サービス」を見直す局面が広がっているのだ。

背景には中国経済の減速がある。コロナ禍からの回復が鈍く、観光客数の伸び悩みや業績不振に直面するホテル業界では、各種サービスの採算性を厳しく問い直す動きが加速している。従来は星評価を上げるための差別化要因だった無料朝食だが、今や提供側にとって重い負担となっているとみられる。

消費者の反発も激しい。中国では朝食無料は「標準的なサービス」として認識されており、これを廃止することは「値下げに等しい」と受け取られている。オンライン予約サイトのコメント欄には、ユーザーから批判の声が殺到。SNS上では「本当に朝食だけの問題か」「ホテルの経営が本当に苦しいのでは」といった疑問の声も上がっている。

サービス競争から経営効率へのシフト

かつての中国ホテル業界は、無料朝食や送迎サービスなど付加価値競争で成長してきた。都市部での高級ホテルチェーン拡大期には、こうしたサービスが宿泊料金の競争力を補完する役割を果たしていた。

だが2020年代に入り、新規開業が相次いで供給過剰となり、価格競争が激化。同時に労働コストの上昇も経営を圧迫している。朝食バイキング運営には調理人や厨房スタッフが不可欠だが、こうした人件費が経営を圧迫する大きな要因になっているとされる。結果として、ホテルチェーンは付加価値よりも「何を削減するか」という守りの経営に転じざるを得ないのが現状だ。

日本への示唆

興味深いことに、この動きは日本のホテル業界にも示唆を与えうる。日本でも朝食付きプランは利用者の重要な選択要因だが、中国での事例は人件費上昇下での持続可能性に関する議論を促すものとなる。中国経済の先行指標として注視する価値がある動きといえよう。中国国内での議論は続きそうだ。

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