中国の不動産危機が新段階へ 物業企業の撤退ラッシュが始まる
中国のSNS上で「物業主動撤離小区」というキーワードが急速に拡散している。これは分譲住宅団地の管理企業(物業)が、採算悪化を理由に自発的に撤退するケースが増加していることを示している。かつては不動産企業側が物業会社に退場を強要する流れが主流だったが、今は状況が逆転。経営難に直面した物業企業自体が撤退を宣言する事態に発展しており、「誰が後を引き継ぐのか」という深刻な問題が浮上している。
不動産不況の波が物業業界を直撃
中国の不動産危機は2021年から顕在化してきたが、ここに来て管理維持の側面でも亀裂が生じている。物業企業は本来、住民からの管理費徴収で運営されるが、バブル期に多くの物件が過剰に造成された影響で、空き室率が高まり徴収率が低下。北京や上海といった大都市でさえ、物業料金の未払い問題が常態化しているとみられる。さらに人件費や保守コストの上昇は続く一方、住民側は経済不況で管理費負担に応じられない状況が続いている。中堅以下の物業企業では経営継続が困難になり、マンション団地から撤退する判断に至るケースが増えているのだ。
「誰が管理するのか」という空白
物業企業の撤退後、管理者不在の団地では建物の劣化が急速に進む。給水設備の故障、外壁の落下、セキュリティ機能の停止といった問題が同時多発的に起こるリスクがある。地方政府は公式に対応できる体制を整えていないため、住民自治組織である居委会(きょいかい)や住民大会での対応に委ねられる。東部の沿海都市では、複数の物業企業が一度に撤退する現象も報告されており、地域全体で管理サービスの空白が広がっている状況だ。
新規の物業企業が引き継ぐケースもあるが、採算が見込めない物件は受け手がない。その結果、公営化や住民による自主管理へ移行するまでの空白期間が長引き、都市環境の悪化につながる恐れもある。中国政府は不動産市場安定化に向けた施策を打ち出しているが、物業業界の構造的危機への抜本的対策は後手に回ったままだ。当局がいかに対応するかが今後の焦点になる。