中国のSNS上で「廉価で低品質なディカトロン製品が全国に流通している」との指摘が拡大している。フランス系スポーツ用品大手ディカトロン(迪卡侬)は中国市場で急速に店舗を増やしてきたが、一部で価格を大幅に下げた廉価版製品の品質問題が浮上し、ブランドイメージの低下を招いている。この事態は、外資系ブランドの急速な中国展開における落とし穴を露呈させている。
廉価化戦略の矛盾
ディカトロンは2020年代初頭から中国で急速に店舗網を広げ、手頃な価格のスポーツ用品で若年層を中心に支持を集めてきた。しかし近年、より低価格帯の商品ラインが増加。ウェアやシューズ、アウトドア用品などで原価を大幅に削減した製品が全国の店舗で販売されるようになったとみられる。消費者からは「数回着用でほつれた」「洗濯後に変形した」といった品質不良の報告がソーシャルメディアで相次いでいる。ディカトロンは低価格化で市場シェア拡大を狙ったとされるが、品質低下が信頼を損なう悪循環に陥っているのが現状だ。
中国消費者の品質意識の高まり
2010年代の中国消費市場では「安かろう悪かろう」が一定程度許容されていた。だが現在、中産階級の拡大に伴い消費者の品質基準は大きく上昇している。特にZ世代(1995年〜2009年生まれ)の若年層は、価格以上に製品の耐久性や環境への配慮を重視する傾向が強まっているとされる。こうした背景で、廉価版製品の品質問題は単なる個別事象ではなく、ブランド全体の評価に直結するようになった。小紅書(シャオホンシュー)やビリビリ動画など主要SNSでは品質問題の告発動画が拡散し、ディカトロンへの批判は加速度的に広がっている。
外資系企業の対応課題
この事案は外資系企業が中国市場での急速な展開を目指す際の難しさを示唆している。高成長率を追求するあまり、品質管理体制の構築が後手に回るリスクが明らかになった。ディカトロンは既に複数の都市で返品・交換対応を強化する通知を出しているとみられるが、失墜したブランド信頼の回復には時間を要するだろう。中国で事業を拡大する外資系企業にとって、急速な成長と品質保証のバランスがいかに重要かを改めて問い直させる事例となっている。