中国で「値下げ配信」が農家を圧迫 スイカ販売の新たな課題
ライブコマースが農産物販売を急速に変えている中国で、新しい問題が浮上している。過剰在庫となったスイカを売捌くため、ネット配信者(ライブストリーマー)が極端な低価格で商品を販売し、農家の利益を圧迫するという現象が相次いでいるのだ。今夏、中国のSNSで「滞销西瓜被网红压价到一毛多一斤」というキーワードがトレンド入りし、消費者と生産者の間で議論を呼んでいる。
スイカ1斤(約500グラム)が1毛(0.1元、日本円で約2円)前後という破格値で販売されているという報道が相次いでいる。通常、良質なスイカの市場価格は1斤あたり数元程度であり、この価格は生産原価をはるかに下回っているとみられる。配信者たちは閲覧数や購買数を競う中で、低価格を武器に視聴者の関心を集める傾向にあり、その結果として農家が被害を受ける構図が生まれている。
ライブコマースの負の側面
2010年代後半から中国で急成長したライブコマース市場は、配信者がリアルタイムで商品をアピールし、視聴者が即座に購入できるプラットフォームとして急速に拡大した。タオバオ(淘宝)やドウイン(抖音)など大手企業もこの領域に注力し、市場規模は数兆元に達している。しかし成長の過程で、配信者間の競争が激化し、低価格による顧客獲得が常態化した。
農産物は季節性が強く、流通期間が限定されるため、売上目標を達成できない時期には在庫処理の圧力が特に高まる。配信者にとっても売上数の増加は重要な指標であり、原価を無視した値下げに走る者が増えているのが実情だ。この悪循環は、農家の経営を脅かし、市場全体の価格体系を歪める要因となっている。
規制強化への動き
こうした状況を受け、地方政府や業界団体が対応に乗り出し始めている。河南省など農産物の主要生産地では、配信プラットフォーム事業者に対して不当な低価格販売の是正を求める勧告を発表しているとみられる。消費者保護と生産者保護のバランスを取る難しさが、政策立案者の課題として認識され始めた。農業の持続可能性を巡る議論は、今後中国経済政策の中でより重要性を増していくだろう。