中国のSNS上で時代劇の撮影現場での思わぬ暴力事件が大きな話題となっている。「大爺」(おじさん)と呼ばれる中年男性のエキストラが、日本兵を演じる俳優に本気で殴りかかったというもので、微博などで拡散され、中国社会での「愛国心」と「表現の自由」をめぐる議論が再燃している。

撮影現場での事件の詳細

事件は複数の時代劇撮影現場で報告されており、歴史テーマの映像作品で日本軍を描く場面が舞台となっている。演技に没入したエキストラが、役柄としての日本兵役の俳優を実際に暴力で襲撃したとみられる。動画がSNSで拡散する中、このエキストラが「演技と現実の区別がつかなくなった」という趣旨の発言をしていたことが報道されている。撮影スタッフの制止にもかかわらず複数回の攻撃を加えたため、警察が関与した案件も複数存在するとされている。

反日感情と社会心理の鏡

このような事件が相次ぐ背景には、中国国内の反日感情の強さが存在する。歴史認識教育により、日中戦争期の日本軍の蛮行が強調される傾向にあり、若い世代から中年層まで感情的な反発が根強い。時代劇の撮影現場では、こうした感情を刺激するシーンが頻繁に登場するため、一定層が過度に感情移入する可能性がある。微博でのコメント欄では、エキストラを擁護する声と、「演技の基本も守れない」と批判する声が対立している。

映像業界と当局の対応

中国の映像制作業界では、こうした事件を受けて撮影現場の安全管理を強化する動きが広がっている。複数のプロダクションが、エキストラへの事前研修を充実させ、職業倫理の徹底を図るとみられる。一方、規制当局は演技の暴力化や危険行為の抑止にも目を向けており、撮影許可の条件厳格化を検討している可能性がある。大衆の愛国心の表現と、社会秩序の維持のバランスが今後の課題となるだろう。

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