中国SNSで加速する「プレッシャー文化」—有名人への圧力が新たな社会現象に

中国版SNS「微博(ウェイボー)」で「圧力给到了C罗」というハッシュタグが急速に拡散している。ポルトガルの有名サッカー選手クリスティアーノ・ロナウド(C罗)に対して、中国のネットユーザーが集団で「プレッシャーをかけた」という意味の表現だ。この現象は単なる一時的な流行ではなく、中国社会における圧力文化の深刻化を象徴するものとしてメディアで指摘されている。

このキーワードが生まれた背景には、著名人の言動に対する中国国内ネットユーザーの過激な批判活動がある。近年、SNS上での「人肉捜索(自警団的な個人情報特定)」や集団による圧力キャンペーンが頻繁に起こっている。ロナウドの場合、特定の発言や行動が中国文化や政治的立場に反すると判断されたユーザーグループが、組織的に批判と圧力を加えたものとみられる。こうした行動は「給压」と呼ばれ、中国のネット文化で常態化しつつある。

ネットユーザーの「正義感」と集団暴力化

中国社会では近年、ネットユーザーが自分たちを社会的監視者と見なす傾向が強まっている。有名人の不適切とされる言動を発見すると、SNS上で集団的に批判・圧力をかける行動を「正義感の表現」と捉えるユーザーが多い。政治的発言から私生活まで、あらゆる領域で著名人は厳しく監視される対象になっている。ロナウドへの圧力も、何らかの「越線」と判断されたことが引き金になったと考えられるが、その過程で個々の批判が大波となり、収拾不能な集団的プレッシャーへと変質していった。

当局が警戒する「ネット暴力」の拡大

中国政府は近年、こうしたネット上の集団的圧力やいじめを「ネット暴力」として取り締まりの対象にしている。人民日報などの公式メディアも繰り返し警告を発しており、過度な批判キャンペーンは法的責任を問われる可能性があると周知徹底されている。今回の「圧力给到了C罗」現象も、監視当局の目に留まったとされ、関連の過激な投稿削除やアカウント制限といった措置が検討される可能性は高い。ネット上での自由な言論と集団的圧力のバランスは、中国社会の大きな課題として浮上している。

関連動画