🇨🇳 原文タイトル
“垃圾不够烧了”
📰 ニュース概要
中国はゴミ焼却発電の核心技術を段階的に攻略し、かつて誰もが避けていた廃棄物であるゴミが、一転して資源へと変貌した。現在、ゴミ焼却は従来の埋め立てに取って代わり、中国の都市生活ゴミ処理の主流方式となっている。大都市を数十年悩ませてきたゴミ埋立問題も解決し、珠江デルタ、長江デルタ地域では、状況が「ゴミが足りなくて燃やせない」にまで発展した。
この「ゴミ不足」現象は、一見すると奇妙に聞こえるが、中国の環境政策と産業発展の劇的な転換を象徴している。わずか10数年前、中国の大都市は「垃圾围城(ゴミに包囲された都市)」という深刻な問題に直面していた。北京、上海、広州などの大都市周辺には巨大なゴミ埋立地が広がり、悪臭、地下水汚染、メタンガス発生など、環境と健康への脅威となっていた。しかし現在、状況は180度転換し、ゴミ焼却発電施設が「原料不足」に悩むという、かつては想像もできなかった事態が生じている。
データが変化の規模を物語っている。住宅都市農村建設部と生態環境部の統計によれば、2005年時点で全国のゴミ焼却施設はわずか67カ所だったが、2024年10月には1010カ所にまで急増した。2023年の中国の生活ゴミ焼却処理能力は日量86.2万トンに達し、「第十四次五カ年計画(2021-2025年)」の目標を前倒しで達成した。現在、ゴミ焼却は都市部と県レベル行政区を完全にカバーし、中国は世界最大のゴミ焼却発電能力を持つ国となった。
「ゴミが足りない」現象の背景には、複数の要因がある。第一に、焼却施設の建設ペースが速すぎたことだ。各地方政府は、環境改善と発電収入の両方を期待して競うように焼却施設を建設した。特に「県県建厂(県ごとに施設建設)」という方針の下、人口が少なく、ゴミ発生量も限られた県レベルの地域でも大規模施設が建設された。施設の設計処理能力は、将来の人口増加やゴミ増加を見越して大きく設定されたが、実際のゴミ発生量は予測を下回った。
第二に、ゴミ分別政策の効果だ。中国政府は2019年以降、主要都市で厳格なゴミ分別制度を導入した。「可回収物」「有害ゴミ」「厨余ゴミ(生ゴミ)」「其他ゴミ」の4分類が義務化され、特に厨余ゴミは専用処理施設で堆肥化やバイオガス発電に回される。厨余ゴミは生活ゴミの40~50%を占めるため、これが焼却ゴミから分離されたことで、焼却施設への供給量が大幅に減少した。さらに、リサイクル意識の向上により、紙類、プラスチック、金属などの資源化も進み、焼却対象のゴミがさらに減った。
第三に、経済活動の変化だ。ゴミ発生量は経済活動の活発度と密接に関連する。新型コロナウイルスパンデミック後の経済回復が予想より緩やかだったこと、電子商取引の普及による過剰包装の抑制、消費パターンの変化などが、ゴミ発生量の抑制につながった。また、人口減少と高齢化も、一人当たりゴミ発生量の減少要因となっている。特に若年人口が減少し、消費が活発な世代が縮小したことの影響は大きい。
この状況を受けて、ゴミ焼却施設間で「花式抢垃圾(あらゆる手段でゴミを奪い合う)」競争が始まった。一部の施設は、近隣の市や県から高い処理費を支払ってゴミを引き取っている。また、過去に埋め立てられたゴミを掘り起こして焼却する「存量垃圾开挖(ストックゴミの掘削)」も行われている。深圳市罗湖区の玉龙埋立地では、1983年から1997年まで使用され、2005年に閉鎖された施設から、総量約250万立方メートルのゴミを掘り起こして焼却する、全国最大規模のプロジェクトが進行中だ。
さらに注目すべきは、国内の大手ゴミ焼却発電企業が東南アジアなど海外市場に進出していることだ。中国の焼却技術は世界トップレベルに達しており、光大国際、康恒環境、中国環境保護集団などの企業は、ベトナム、タイ、フィリピン、インドネシアなどでゴミ焼却発電施設の建設・運営を受注している。これらの国々は急速な都市化でゴミ問題に直面しており、中国の技術と経験が求められている。国内の「ゴミ不足」が、逆に企業の国際展開を促進する結果となった。
ゴミ焼却発電の仕組みを見ると、その経済的魅力が理解できる。ゴミ1トンから約300キロワット時の電力が発電でき、最小規模の日量200トン処理施設でも、毎日6万キロワット時の電力を生み出す。中国政府は再生可能エネルギー促進のため、ゴミ焼却発電に対して固定価格買取制度(FIT)を適用しており、1キロワット時あたり約0.65元(約13円)で買い取る。このため、焼却施設は発電収入に加え、自治体からゴミ処理委託費も受け取れ、二重の収入源がある。施設建設には数億元から十数億元の投資が必要だが、適切に運営されれば10~15年で回収可能とされる。
しかし、産能過剰(生産能力過剰)は深刻な問題を引き起こしている。施設が満負荷で稼働できなければ、投資回収が遅れ、企業の財務を圧迫する。また、自治体にとっても、建設時の債務負担と運営補助金の継続的支出が財政を圧迫する。一部の小規模な県では、施設の稼働率が50%以下に落ち込んでおり、「建てたはいいが採算が取れない」状態だ。専門家は、施設建設の前に、広域でのゴミ処理計画と需給予測を精緻に行うべきだったと指摘している。
環境面では、ゴミ焼却の普及は大きな成果をもたらした。埋立地の減少により、土地の有効活用、地下水汚染の防止、メタンガス排出削減が実現した。現代のゴミ焼却施設は、高温燃焼(850度以上)により有害物質を分解し、排ガス処理装置でダイオキシンや重金属を除去する。中国の排出基準は欧州連合(EU)基準と同等かそれ以上に厳格で、継続的なモニタリングと公開が義務付けられている。焼却灰は建設資材として再利用され、資源循環が実現している。
一方で、ゴミ焼却への過度な依存には批判もある。環境NGOや専門家は、「ゴミ発生抑制」と「資源化・再利用」こそが優先されるべきだと主張する。焼却はゴミ問題の根本的解決ではなく、大量消費・大量廃棄の社会構造を温存するという指摘だ。また、焼却施設が「ゴミ不足」に陥ることは、本来喜ばしいことであり、ゴミ発生量の減少は社会の進歩を示すとの見方もある。問題は施設の過剰建設であり、ゴミ減量ではないという論理だ。
今後の対応として、いくつかの方向性が議論されている。第一に、既存施設の統廃合と広域化だ。小規模な施設を閉鎖し、大規模で効率的な施設に集約することで、スケールメリットを活かす。第二に、多様化戦略だ。焼却だけでなく、バイオガス発電、堆肥化、リサイクルなど、ゴミの種類に応じた最適な処理方法を組み合わせる。第三に、海外展開の加速だ。国内で培った技術とノウハウを、ゴミ問題に直面する発展途上国に輸出し、新たな事業機会を開拓する。
長期的には、循環経済(サーキュラーエコノミー)への転換が鍵となる。製品設計段階から廃棄を考慮し、修理・再利用・リサイクルを容易にする。過剰包装の抑制、使い捨てプラスチックの削減、共有経済の推進などにより、ゴミ発生そのものを減らす。中国政府は「無废城市(ゼロウェイスト都市)」建設を推進しており、深圳、雄安新区など複数の都市がモデル都市に指定されている。これらの都市では、ゴミ発生量を最小化し、発生したゴミは最大限資源化する取り組みが進められている。
「垃圾不够烧了(ゴミが足りなくて燃やせない)」という現象は、中国の環境政策の成功と失敗の両面を映し出している。ゴミ焼却技術で世界をリードし、「ゴミ包囲」から脱却したことは成功だ。しかし、過剰な施設建設と計画の不備は、資源の浪費と財政負担を生んだ。この経験は、環境インフラ整備における慎重な計画の重要性を教えている。最終的に目指すべきは、ゴミを燃やす技術ではなく、ゴミを出さない社会だ。中国の「ゴミ不足」問題は、その転換点にあることを示唆している。
💬 中国SNSの反応
- 「ゴミが足りないって、良いことじゃないか。ゴミ減量成功だよ」
- 「施設を作りすぎたのが問題。計画性がなかった」
- 「ゴミ分別のおかげ。みんな頑張った成果だ」
- 「焼却施設の投資、無駄になってないか心配」
- 「海外展開できるなら、技術輸出で稼げばいい」
- 「そもそもゴミを出さない社会を目指すべき」
- 「県ごとに施設って、明らかに過剰だったよね」
- 「環境改善されたのは良いこと。前進してる」
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