中国外交を主導する王毅(王毅)国務委員兼外相が、フィリピン軍警察の一部勢力による「故意的な挑発」を非難する声明を発表した。南シナ海をめぐる米国とその同盟国との緊張が、また一段と高まった格好だ。

南シナ海での衝突が再燃

王毅の発言は、フィリピン当局によるスカボロー礁周辺での中国漁船への対応や、第二トーマス礁などの争点地域での行動を指すものとみられる。南シナ海では2024年以降、中国海警局とフィリピン沿岸警備隊による小競り合いが繰り返されてきた。フィリピンは米国の支援を背景に、領有権主張を強化する姿勢を崩していない。王毅の今回の発言は、中国がこうした動きを「計画的な挑発」と判断し、強く反発していることを示している。

米国の影響力拡大への警告

フィリピンのマルコス大統領は親米政策を鮮明にしており、米軍の駐留強化やフィリピン・米国・日本の安保協力枠組みの構築へと動いている。中国側の立場から見れば、フィリピンは米国に操作される「代理勢力」に映るのだろう。王毅の発言は、単なるフィリピン批判ではなく、背後にある米国の戦略に対する警告と解釈できる。中国にとって南シナ海は「一帯一路」構想の海上ルートであり、戦略的に譲れない地域である。

中国国内では、こうした海外での強硬姿勢を支持する世論が大多数だ。習近平(习近平)政権は民族主義的なナラティブを活用し、政治的正統性を維持する傾向にある。南シナ海での「主権侵害」への抵抗は、そうした戦略の一部でもある。

日本への波及効果

東シナ海の尖閣諸島問題を抱える日本にとっても、この問題は無視できない。中国がフィリピンに対して強硬姿勢を示すことは、日本に対する圧力強化にもつながりうる。ASEAN諸国の分断と中国への依存深化は、地域全体の力学を変える可能性がある。

当面、中国の対米・対フィリピン政策は硬軟織り交ぜた戦術が続くとみられるが、軍事的な緊張が高まるリスクは引き続き存在する。

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