イラン制裁解除で動く欧州、中国の戦略的利益も浮上

2026年6月、英国、フランス、ドイツ、イタリアの4カ国がイランに対する制裁を段階的に解除する方針で合意したというニュースが流れた。トランプ前政権による強硬政策から転換を迫られた欧州勢が、イラン核合意(JCPOA)の枠組みへの復帰を模索する動きである。この決定は中東情勢の大転換を示唆するとともに、この地域での影響力拡大を進める中国にとっても戦略的に重要な局面を迎えることを意味する。

欧州と米国の政策転換

イランに対する経済制裁は、トランプ政権がJCPOAから一方的に離脱した2018年から激化していた。その後の民主党政権でも制裁は維持され、欧州企業もイラン市場へのアクセスが大きく制限されてきた。今回の4カ国による解除決定は、イランの核開発抑止と地域安定化を目指す現在の米国政権との調整の結果とみられる。欧州側としても、イラン経済の実質的な制裁解除によって中東での影響力確保を狙うねらいがある。

中国とイランの接近が加速

この動きは中国にとって極めて有利に働く。2021年、中国はイランと25年間の包括的戦略的パートナーシップ協定を締結済みだ。石油輸入やインフラ投資を通じた深い経済関係を構築してきた中国は、欧米の制裁が緩和されても既得権益を大きく失うことはないとみられる。むしろ欧州との競争が本格化するなか、中国がイラン市場でいかに存在感を維持するかが課題となる。

中国SNSでは、この欧州の動きを「米国への対抗」「多極化の進展」として肯定的に受け止める論調が目立つ。同時に、中東での地政学的な立場を強化したい中国政府にとって、イランの経済的自立と地域での発言権拡大は国益に直結するテーマである。

当面、欧州のイラン市場参入によって、石油価格やエネルギー戦略の綱引きが激しくなることが予想される。中国がこの新しい競争環境でどのような対応を取るのか、注視が必要である。

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