難関大学の入試競争が激化 「二流大学」が985大学を上回る合格点に
中国の大学入試シーズンで異例の現象が起きている。「双非」(双一流ではない)と呼ばれる一流でない大学の合格最低点が、985プロジェクト認定の有名大学を超えるケースが相次いでいるのだ。この逆転現象は、中国の教育格差と受験熱の深刻化を象徴する事態として注目されている。
大学序列の常識が揺らいでいる
中国の大学序列は極めて厳格だ。985プロジェクト(1998年開始)は国家が指定した最高峰の39大学を指し、次が211プロジェクト認定大学である。「双非」は両方の認定を受けていない大学を意味し、一般的には格下と見なされてきた。
しかし2026年の入試で、地方の双非大学の合格最低点が北京大学や清華大学を除く985大学を上回る事例が複数報告されている。特に東部の経済発展地域に位置する二流大学で顕著だとみられる。この背景には、地方都市への就職優遇制度や企業の採用基準の多様化があるとされている。東部の大学卒業生が同地域で就職しやすいという現実が、受験生の判断を変えつつある。
志願者の戦略が転換している
受験生と保護者の視点の変化が大きい。従来は大学のブランド価値が最優先されていたが、卒業後の就職地や収入見通しを重視する傾向が強まっている。特に親世代の価値観が揺らいでいるのだ。
地方経済が成長する中で、都市部の質の高い企業は必ずしも大学名で採用を判断しなくなった。インターンシップでの実績やスキルが重視される傾向が強まっている。加えて、学費や生活費を考慮して「コストパフォーマンスの良い大学」を選ぶ層も増えている。教育の民主化が急速に進む一方で、社会階層間の不安定さが背景にあるとみられる。
高等教育改革への課題
この現象は中国政府の高等教育改革政策にも関連している。2015年に「双一流」建設計画が立ち上げられ、質的評価による大学再編成が進められてきた。しかし実際には資源の集中が加速し、二流大学は逆境に陥りやすくなっていた。
今回の合格点の逆転は、市場が当局の序列評価に異議を唱えている状況を示唆している。中国教育の「平準化」が静かに進行中であり、大学入試制度全体の見直しを迫る圧力が高まっていると言えるだろう。大学の機能と役割の再定義が急務となっている。