上海が記録的豪雨に襲われ、都市機能に打撃

中国最大級のメガシティ・上海が7月中旬、かつてない規模の豪雨に見舞われた。「暴雨如注」(ぼうう じょちゅう)とは、滝のような激しい雨が降り注ぐ様子を指す表現で、中国のSNS上ではこの言葉が急速に拡散されている。動画投稿サイトやウェイボーには、地下鉄の駅舎が一時的に水没する映像や、主要幹線道路が冠水する写真が次々と上がった。当局が発表した降水量は、7月18日から19日にかけて200ミリを超え、上海における月間平均降水量の半分近くを48時間で記録したことになる。

激甚化する気象災害と都市インフラの脆弱性

上海の排水システムは20世紀のインフラ整備に基づいており、近年の気候変動による極端気象への対応が追いついていないとみられる。市政府は2010年代から「海綿城市」(かいめんとし)と呼ばれる遊水機能を備えた都市設計への転換を掲げてきたが、実装は進みが遅い。今回の豪雨で浮き彫りになったのは、1,600万人を超える住民を抱える世界有数のメガシティが、気象の予測困難性に対して十分な準備を欠いているという現実だ。当局は迅速に防災警報を発令し、企業や学校に休業・休校指示を出すなど対応したが、交通網の混乱は数日間続いた。

長江デルタ地域全体を襲う水害

上海単独の問題ではなく、長江(ちょうこう)下流域に広がる経済圏全体が同じ気象システムの影響を受けている。杭州(こうしゅ)や蘇州(そしゅう)といった周辺都市も甚大な被害を報告しており、これらは中国の製造業やテクノロジー産業の重要な拠点である。工業団地の浸水により、一部の生産ラインが停止を余儀なくされ、サプライチェーンへの影響も懸念されている。この地域は中国GDPの約4分の1を占める経済心臓部であり、水害による経済的損失は国家規模の懸念事項として認識されている。気候変動への適応が、今後の都市政策における最優先課題として浮上すことは確実だ。

関連動画