中国の「万能健康食品」が実は有毒物質――亳州市の当局が調査に乗り出した背景
中国SNS上で「有毒な養生神薬」の暴露報道が急速に拡散している。問題となっているのは、中医学の伝統に基づくとされながら、実は危険な成分を含む健康食品だ。報道を受けて、安徽省亳州市(ぼくしゅうし)の当局が緊急の調査組織を立ち上げた。この事件は、中国社会で「健康長寿」への関心の高まりが、いかに消費者詐欺の温床となるかを浮き彫りにしている。
「神薬」の正体――中医学を悪用した健康食品詐欺
亳州市は古来より漢方薬の集散地として知られ、中医学文化が根強い地域だ。こうした伝統を背景に、多くの企業が「古方を現代に復活させた」として、様々な健康食品を販売してきた。今回問題となった製品も、中医学の権威性を装いながら、実は毒性物質を混入させていたとされる。被害者たちが配合成分の検査を依頼した結果、標準では禁止されている物質が検出されたという。SNS上では「祖父母世代が購入させられた」といった悔恨の声が相次ぎ、瞬く間に数百万人の目に触れる事態に発展した。
高齢化社会が招いた「健康食品バブル」
中国の急速な高齢化を背景に、健康食品市場は年率15%以上で拡大している。70代以上の消費者層は、インターネットの情報リテラシーが低いため、テレビCMやSNS広告の影響を受けやすい。企業側も「効果がある」という曖昧な表現で、医学的根拠なく宣伝してきた。規制当局の体制が追いつかず、多くの違法製品が市場に残存している状況が続いていた。亳州市当局の調査組織は、製造工場の一斉査察と全流通経路の追跡調査を予定しており、類似製品の摘発も視野に入れているとみられる。この事件は、中国政府が健康食品業界全体の監視強化を余儀なくされる転機となる可能性が高い。
関連動画