重慶の配達員が極限の疲労で話題に─ギグワーカーの過酷な労働実態が浮き彫りに

中国SNSで、重慶(重庆)市の配達員が過度な労働で体力を消耗する動画が拡散し、ギグワーカーの労働環境への懸念が急速に広がっている。動画では、配達業務を続けた男性が「脚がふにゃふにゃになった」と語り、走り疲れて足が動かなくなる様子が映されている。この投稿は「拼命跑腿脚都是软的」というハッシュタグで数百万回の閲覧を獲得し、配達業界の過酷さが改めて社会問題として認識されるきっかけとなった。

配達業界を支える若年労働者たちの現実

中国の配達サービス産業は過去15年で急速に拡大した。アリババ(阿里巴巴)やメイトゥアン(美团)といった大手プラットフォーム企業が配達ネットワークを構築する中で、日給制の配達員は低い待遇で長時間労働を強いられてきたとみられる。重慶のこの配達員は、1日に数十件の配達をこなし、時間制限と達成ノルマの両立で極度の疲労状態に陥ったものと考えられる。

配達員の給与体系は成功報酬制が主流で、配達数や速度に応じて歩合給が変わる。このため業者側は配達員に無制限の業務量を課す傾向があり、特に食事時間帯のピーク時には深刻な過労状態になるという。都市部に集中する配達員の多くは農村部からの出稼ぎ労働者であり、生活費を稼ぐため限界まで働くしかないという悪循環が生じている。

規制強化への転機となるか

このような投稿が大量に拡散することで、政府や企業への圧力が高まる可能性がある。2021年、中国当局は配達員の労働条件改善を求める通知を出したが、実効性に乏しいと批判されてきた。重慶の事例は、こうした行政指導が十分に機能していない実態を示唆している。

今後、プラットフォーム企業に対する規制強化や配達員の最低保障給制度の導入が議論される見込みだ。労働基準の改善は配送料金の上昇につながる可能性があり、消費者負担の増加も避けられないとみられる。中国政府が労働環境改善とサービス産業の成長のバランスをどう取るかが、当局の対応の焦点となるだろう。

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