49万元の住宅ローン残債が相続問題に――中国で「負債拒否相続」が急増する背景

中国版SNS「微博」で「男子去世欠49万房贷父母放弃继承」というトレンドが話題を呼んでいる。これは息子が亡くなった際に、両親が約49万元(約950万円)の住宅ローン残債を理由に相続を放棄したケースだ。不動産バブル期の遺産相続制度の矛盾が一層浮き彫りになっています。

中国では住宅ローンが急速に普及した過去20年間、多くの若年層が親世代の援助を受けながら不動産を購入してきた。しかし2020年代に入ると不動産市場の冷え込みが本格化し、物件価値が購入時より低下するケースが急増した。このためローン残債が担保価値を上回る「水中ローン」が問題化している。相続人にとって、物件そのものより残債を引き継ぐ方が金銭的負担になるという逆転現象が生まれたのだ。

今回のニュースは中国の民法上、相続人が被相続人の債務継承を拒否できる権利に注目が集まる契機となった。理論上は相続放棄により親は負債を免れるが、実務レベルで銀行との交渉は複雑なため、多くの家族が困窮に陥っているとみられる。若年層の負債問題は親世代の経済不安にも直結し、社会的な階級分化を加速させる要因になるとの懸念が高まっている。

不動産危機と世代間の経済格差

中国の不動産市場は2022年から深刻な調整局面に入った。大型開発業者の債務危機や価格下落により、購入時より物件価値が2〜3割下がるケースも珍しくない。親世代が全力で支援した子どもの不動産購入が、返って家計圧迫の源泉になる矛盾が生じている。こうした世代間の経済格差拡大は、若年層の消費意欲や結婚意欲の低下にも繋がり、人口減少社会への危機感を深めている。

中国当局は地方政府の財源確保を不動産売却税に依存してきたため、市場縮小への対応が後手に回ったとの批判も強い。ローン債務の個人破産制度が十分整備されていない中、相続放棄という法的抜け道が活用される現象は、制度設計の欠陥を象徴しているとも言える。

制度改革を求める社会的圧力

こうした事例の広がりは、中国国内で相続法や破産法の抜本改革を求める声を高めている。若年層を中心に、負債を理由とした生涯的な経済苦境に陥ることへの危機感が表面化した。今後、親世代の資産承継が実質的な負債承継へと変わる懸念から、不動産購入そのものへの考え方を見直す層も増えつつある。社会的な議論の深化が政策転換の圧力となるかどうかが、当面の焦点となります。

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