SNS時代の芸能人評価が急変 「1つの好評で許される」現象が中国で話題

中国の動画SNS「抖音(ドウイン)」や微博(ウェイボー)で最近、「顔を売ってAIゲームをする」という奇妙なトレンドが広がっている。香港の伝説的エンターテイナー、遊本昌(ゆうほんしょう・游本昌)と女優の王祖賢(おうそけん・王祖贤)という過去のスター2人が、AIを用いた新しい形式のゲーム企画に登場したことがきっかけとみられる。この企画では、参加者が「1つの好評」で報酬を得たり社会的評価が回復したりする仕組みが組み込まれている。一方で「1つの批判」で即座に非難の的になるという不安定な状況も併存している。デジタル時代における芸能人の評価の脆弱性が、ここまで可視化されたケースは珍しい。

ネット評価の急速な反転メカニズム

中国のネット社会では、かつて「炎上」が周期的に波状攻撃であった傾向に対して、近年は単一のポジティブ発言やイベント出演で「許し」の機運が一気に形成される現象が目立つようになった。遊本昌は80年代から90年代に評価を受けていた人物だが、時代の変化とともに忘れられていた。AIゲーム企画への参加がきっかけとなり、彼が新しい世代にも認識されるようになり、懐かしさと新奇性が融合した好感情が生まれたとされる。王祖賢も同様に、過去の栄光を持つ存在から「デジタル時代に適応する試み」として再評価される道が開けた。この急速な反転は、中国都市部の消費者心理が極めて流動的であることを示唆している。

当局とプラットフォームの規制動向

こうしたAI活用型エンターテインメントについて、中国当局は慎重な姿勢を保っている。著作権やディープフェイク技術の悪用に対する懸念から、今年上半期に新たなガイドラインが策定されたばかりである。ドウインなど大手プラットフォームは、AI生成コンテンツに対する事前審査システムの強化を迫られている状況にある。遊本昌らの企画が話題を呼んだことで、この種のコンテンツの「線引き」がどこにあるのか、業界内での議論が一層高まると考えられる。消費者の反応の不安定さと規制の枠組みの不透明さが並行して存在している点が、中国デジタルメディア産業の現在地を象徴している。

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